AIが300万の仕事を置き換える可能性：新レポート

投資銀行ゴールドマン・サックスによる最新のレポートによれば、人工知能（AI）が将来、300万の職を置き換える可能性があると予測しています。これは、現在ある仕事の4分の1がAIによって置き換えられるかもしれないという警告です。一方で、AIが新たな仕事を生み出し生産性を急激に向上させる可能性も指摘されており、結果として、全世界のGDPが7％増加する可能性があるとしています。

AIによって創作活動は奪われるのか

人間の作業と見分けがつかないほどの質の高いコンテンツを生成する能力を持つAIは、「大きな進歩」とレポートは評価しています。その一方で、Oxford Martin Schoolのカール・ベネディクト・フレイは、「生成型AIがどれだけの仕事を置き換えるかはまったく分からない」と語っています。

AIは間違いなくクリエイティブな仕事にも影響を及ぼします。その影響はポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあります。

創作活動者はAIをどのように使えば良いのか

メディアアーティストの落合陽一さんは、クリエイターたちがどのようにAI時代を生き抜くか、５つの方針を提唱しています。

• スキルを磨いて創作物の単価を上げる
• AIと共同作業をする
• AIにコピーされたという事実でさらに有名になる
• NFT技術を使って証明書を添える
• 著作権に関する法を改めて整備する

そうはいっても納得できないクリエイター

最近、アメリカのクリエイターであるカーラさんが、日本のテレビNews Zeroに激怒するという事案が発生しました。News Zeroが該当インタビューで、カーラさんの作品とAIがカーラさん風に生成した画像のどちらが良いかを聞く、という愚行に及んだのです。

Last week @ntvnewszero released a shameful segment that exploited my work by holding a public "competition" with online trolls, misinformed viewers and dismissed my accurate issues on generative AI. Here's my statement on this unfortunate segment: https://t.co/NxpNZPIzxG pic.twitter.com/9kNuw2SJl0

— Karla Ortiz (@kortizart) May 23, 2023

カーラさんは、一連のやり取りの中で落合さんにも言及し、５つの方針に納得できないと言っています。

• スキルを磨いて創作物の単価を上げる→人間の速度でAIを凌ぐスキルを磨くことは不可能
• AIと共同作業をする→他のクリエイターの作品を盗むことで成長したAIを使うことなどできない
• AIにコピーされたという事実でさらに有名になる→我々はAIにコピーされたのではない。盗まれたのだ！
• NFT技術を使って証明書を添える→現在進行しているレベルの搾取に備えることなどできなかった
• 著作権に関する法を改めて整備する→もうすでに整っている

AIと仕事の変容

AIの影響は業種により異なります。例えば、管理職や法律関連の仕事のうち46%と44%が自動化される可能性がある一方、建設業では6%、保守業では4%にすぎないとのことです。

以下のグラフは、何割の仕事がどれぐらいAIに取って代わられるかを示したグラフです。

この報告によると、65％の仕事が部分的にAIに取って代わられることが予想されます。

生成型AIと新たなビジネスチャンス

さらに、AIの進歩はグローバルなソフトウェア業界、特にエンタープライズソフトウェアに大きな影響を与えると予想されています。ソフトウェア企業はすでに生成型AIを使った新たなサービスの提供を始めており、その市場規模は最大で1500億ドルに達する可能性があります。

これは、現在のグローバルソフトウェア産業の市場規模6850億ドルに対して、20％という驚異的な数字です。

未知の影響

生成型AIの影響力は、ビジネスの生産性向上、製品の設計、健康診断の改善、サイバーフラウドの検出など、幅広い分野でその力を発揮できると期待されています。しかし、その具体的な影響や普及のスピードについてはまだ不明な点が多いです。

雇用の未来

「AIに仕事を奪われる」といった言説が飛び回り、私たちは不安に苛まれています。しかし、技術革新が新たな雇用を生むことも歴史が証明しています。

過去の研究によれば、現在の労働者の60％は、1940年には存在しなかった職種に就いています。このことから、技術的変化が新たな仕事を生み出し、労働市場を拡大する力を持つことが示されています。しかし、生成型AIが以前の情報技術の進歩と同じパターンをたどるなら、直近的には一部の雇用を減少させる可能性も否めません。

予測と慎重な対応

AIの長期的な影響については非常に不確定であり、解決財団のCEOであるトーステン・ベルは、「すべての確固とした予測は大いに懐疑的に受け取るべきである」と述べています。「技術がどのように進化し、企業がそれをどのように仕事に統合するかはわからない」と彼は言います。

しかし、AIの可能性から目を背けるのではなく、それをうまく活用して生産性を高め、新たなビジネスチャンスを創出し、より安価にサービスを提供することができるようにすることが重要です。そのためには、技術的変化に対する適応能力を高め、社会全体がこの新たな時代に向けて準備を進めることが求められます。

人工知能の進歩により仕事がなくなるのか、それとも新たな仕事が生まれるのか。それはまだはっきりとした答えはありません。しかし、AIの進歩は止まらず、私たちの生活や仕事に大きな変化をもたらすことは間違いありません。今後の変化に備え、自分自身が技術的な変化に適応できるよう、スキルを磨き、知識を深めていくことが重要と言えるでしょう。